矯正による咬合治療例
58歳の女性。奥歯がぐらぐらして、物がかめないため来院された。写真ではわかりづらいが、模型でみてみると、上顎の歯列は左右側方に広がり、下顎の歯と咬合していない。唯一咬合高径を維持している左の6、7番は咬合性外傷による歯周病と思われる骨の破壊がおこり、動揺を来して、咬めなくなっている。

初診時口腔内(1996年8月12日)

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初診時レントゲン写真

上下顎の両側7番には、咬合性外傷によると思われる骨の吸収が認められる。右上の1,2番間には咬合高径が失われたためにおきた前歯部の突き上げによると考えられる空隙が認められる。右上1番には根尖病巣も認められる。

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初診時歯周検査

ポケット3mm以下は記入していない。第2大臼歯部には6mmをこえる歯周ポケットが多数あり、分岐部病変も認められ、1〜3度の動揺を示している。*印はBOP(プロービング時の出血)を示す。
第2大臼歯を抜歯してしまうと、咬合部位が無くなってしまう。補綴治療により咬合関係を改善することは困難であると考えられたため、下顎の知歯の抜歯と、スケーリングによる感染のコントロールのみを行って、矯正治療にて、臼歯部の咬合関係を確立することにした。

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咬合回復のための矯正治療

咬合回復のための矯正治療として、上顎に急速拡大装置を逆に用いて、急速縮小装置として使用した。良好な咬合関係を確立するために必要な縮小量を計算し、あらかじめその分を拡大した状態で、装置を制作した。ネジを1回90度回転させると0.2mm縮小する。これを1日2回朝と晩に行ってもらった。


矯正開始時の口腔内写真(1997.1.16.)

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矯正終了時の口腔内写真(1997.4.4.)

臼歯部の咬合関係が得られた。咬合高径の確率により、右上1,2番の空隙も自然に閉じた。

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矯正治療後の歯周再評価検査結果

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第2大臼歯には依然として深いポケットが残っている。矯正治療により咬合関係が改善されたため、この時点で7番を抜歯することにした。



補綴治療


矯正治療および歯周治療終了時の口腔内写真(1997年7月31日)

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7番抜歯後のレントゲン写真(1997年8月28日)

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補綴治療開始時の再評価検査の結果

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右下6番の遠心に深い歯周ポケットが残っているが、7番を抜いてまだ間もないためであり、今後は改善していく物と考えられる。出血がまだ数カ所認められるため、プラークコントロールの強化を行う。これで歯周治療を終了し、いよいよ最終補綴にはいる。



補綴終了時口腔内(1998年5月20日)

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補綴終了時レントゲン写真(1998年6月6日)

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矯正治療により改善された臼歯部の咬合関係の変化

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治療終了時からまもなく10年が経過しようとしているが、その間3ヶ月に1度の定期的なメンテナンスを行い、現在まで咬合関係は良好な状態を保っており、歯周病の再発もなく、全ての残存歯は保存されている。