これからの医療に求められるものは何か?
今までの日本の医療は、治療中心の医療で、病気を治すことが医療の目的でした。しかしこのことが、一方で「病をみず人をみよ」という医療本来のあり方をしばしば見失わせ、医師が患者という人を診るのではなく、病気という現象のみを診ることになり、患者不在の流れ作業的な診療をおこなうことの原因になっていました。
病気を治せば、医療の目的は達せられるのでしょうか?
特に歯科領域においては治療=真の治癒ではありませんので、治療を繰り返すたびに歯は削られて、少なくなり、最終的には失うことになります。
統計によると、詰め物かぶせ物の多くは10年もっていません。

引用元:読売新聞
「詰め物」寿命10年未満

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20050816ik01.htm



そして、その結果、生涯自分の歯ですごせない日本の高齢者の現実があるのです。(平成11年の歯科疾患実態調査の結果によると、80歳における平均残存指数は7.4本でした。)
しかしながら、治療において行うべきことをきちんと行い、予防のための正しい知識を身につけて頂ければ、詰め物やかぶせ物はもっと長持ちし、結果 として生涯自分の歯で過ごすことが可能なのです。実際に歯科医療を予防中心の医療に切り替えた北欧の国では、80歳で平均20本の歯を残すこ とに成功しています。そして、驚くべき事にスウェーデンで行われた調査では、日本では8年しかもたないブリッジがなんと20年ももっています。
私は医療の最終的な目的は、個々の人々が治療を通じて正しい知識を学び、健康の重要性を認識し、自らが自身の健康を管理し、予防していくことで、豊かな人生を送れるようになることだと考えています。
このような医療を実践していく上では、私は次に述べる2つの医療のあり方が必要となると考えています。

医療の大きな2本の柱、それは
EBM(Evidenced Based Medicine)科学的根拠に基づく医療
NBM(Narrative Based Medicine)患者の語る物語に基づく医療
  です。

今の医療はEBMだけが非常に強調されてしまい、臨床所見と検査データだけの病気という現象のみを診る、患者不在の医療になっています。EBMとNBM、この2つ考え方は、あまりにも対照的であるが故に、互いに相容れないもののように考えられがちなのですが、医師の行う臨床というものを、病気という現象を診るのではなく、患者という感情をもつ一人の人間を診る技術としてとらえるならば、両者は対立するものではなく、互いに必要とし、補完しあう存在になるのです。 
インフォームドコンセント(説明と同意)という言葉があります。医療の現場においてこのことの重要性が言われるようになってから、数年が過ぎました。しかしながら、実際のインフォーム ドコンセントは、多くの場合、医師から患者への一方的な情報提示にとどまっているのではないでしょうか。その説明も万が一の時、患者の側ではなく、医師を守るためのもののように思います。そして、その内容を医師は患者さんの理解できる言葉でわかりやすく説明しているでしょうか?患者さんが正しく理解できたか、医師はフィードバックを求めて確かめているでしょうか?
患者の身になり、医師が患者と関わるときに、両者の間に信頼関係ができ、その対話を通じて、患者さんは自分にとって病気の本当の意味を考えるようになるのではないでしょうか。
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Photo by ミントBlue    

 
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