なぜ治したところがまた悪くなってしまうのか?
治療した歯が何年かしてまた悪くなってしまうことを経験している人は少なくないと思います。何度もそのようなことを経験している人の中には、歯は削るとだめになってしまうので、「削らない、かぶせない、抜かない」がいいと思っている方もいらっしゃいます。
実際の診療においても、以前に治療した歯の再治療を行うケースが多いことは事実です。

前にも述べたように修復物の寿命は5年から8年と言われています。そしてそのやり変えた歯の多くが以前よりもより大きなダメージを受け、場合によっては抜歯されているのです。

多くの患者さんは自分の手入れが悪かったからと思っていらっしゃいます。しかし、原因はそれだけではありません。なおしてもらった歯のつめ物やかぶせ物が、きちんとお手入れができるようなものだったかどうかということも、大きな要因の一つです。

20070827134031.jpg虫歯が発生するのは、歯と修復物の継ぎ目の部分であることがほとんどです。左の写真のブリッジは、ある重症の歯周病患者さんのお口の中にあった物です。かぶせ物の継ぎ目の部分に大きな虫歯が出来ているのがわかります。どちらも神経がない歯でしたので、痛むことが無く、そのままにしていたところ、歯周病が進行し、自然に抜けてしまいました。

20070827135232.JPG左の写真はブリッジの継ぎ目の部分を下の方から見た写真ですが、歯とかぶせ物の間に大きなすき間があるのがおわかり頂けると思います。このようにお手入れしようにもできないような段差があったり、すき間があるような修復物はプラークの人工的な蓄積場となり、そこから将来むし歯が発生してくるのです。プラークコントロールは患者さんの責任ですが、修復物の品質は歯科医師の責任になります。このようなかぶせ物やつめ物がはいってしまうと、患者さんがどんなに頑張って予防しようとしても、限界が出来てしまいます。


 じつは細菌以外に治した歯が壊れてくる原因がもうひとつあります。それは咬合力(かむ力)です。堅い物をかむとき歯には何十キロもの力が加わります。寝ているときに無意識下で起きる歯ぎしり、くいしばりではもっとすごい力がかかり、歯を折ってしまうことすらあります。もちろん力の程度には 個人差がありますが、歯が残り少なくなると、残された歯に加わる負担はより何倍にもなります。20070827144122.JPG
左の写真の矢印は、歯の根にはいったクラック(ひび)を示しています。入れ歯を支えていた歯だったのですが、咬合時に違和感を訴えていました。顕微鏡で確認したところ破折線が認められましたので、相談の上抜歯させて頂いたものです。私のところで治療させて頂きましたが、残念ながら8年目に抜歯になりました。かぶせ物の継ぎ目に全く隙間がないことに注目して下さい。適合の良い修復物は虫歯になりにくいのですが、このように力によってだめになる場合もあることを知っておいて下さい。
よく、「奥歯だから見えないので、歯がなくてもいいです。」という患者さんがいます。これは実はとても危険なことです。通常上の前歯は下の前歯におおいかぶさるように生えています。奥歯はかみ合わせの高さを維持しているのですが、これがなくなると上の前歯は下の前歯に突き上げられ、壊れてしまいます。逆に前歯は奥歯に悪い力がかからないように守ってくれています。
かみ合わせに問題がある場合には、力のコントロールも含めた治療が必要なことがあります。
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Photo by ミントBlue    

 
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