歯科診療において大切なことは何か?
まず必要なことは、十分な情報収集に基づき、正しい診断をすることです。いくら良い治療をしても、診断が間違っていてはなんにもなりません。
そのためには、十分に患者さんの話を聞くことが、なによりも大切です。
患 者さんの語るどんなエピソードも、正確な診断をし、よりよい治療計画を立てる上で、有益な情報となります。医師が患者さんの話を十分に聞くことができれ ば、それだけで多くの場合診断がつきます。その上で必要なレントゲンを撮ったり、口の中の診査を行ったりすることで、診断の信頼性をより高めていくので す。今の医療はどうしても短い時間の中で、診療をすることをしいられていますので、医師は患者から診断のために必要な情報のみを聞き、検査により確定する といった方法をとることになりがちです。その結果、どうしても検査に重点を置くことになります。保険診療報酬も話を聞くことの報酬は初診料に含まれてしま うのに対し、検査に対しては各種検査料が算定できるため、このことも検査に頼り、十分に話を聞くことのできない原因になっています。

歯科疾患の9割は、虫歯と歯周病であり、そのどちらもが細菌による感染症であることから、ほとんどの問題は感染の除去を正しい診断のも とにきちんとやれば、解決できるはずです。言い変えれば、感染の除去をおろそかにしては、どんな最先端の技術を駆使しても良い結果は得られません。大事な のは、材料やテクニックではなく、なぜそれを使うのか、なぜそうするのか、そのことをきちんと理解して、正しい使い方をすることなのです。

臨 床において、このことをきちんと理解して実行されている先生は決して多くはありません。それは、こうした当たり前のことをきちんとやることは簡単なよう で、非常に難しいからなのです。というのは、感染している部分を見逃すことなく、きちんと取り除くには、十分に時間をかけた丁寧な治療が必要となるからで す。一般的な歯科医院では、1時間に3−4人の患者さんを診ています。このような状況では患者さんの話を十分に聞き、きちんとした治療をすることはできま せん。

十分にお話を伺い、感染の除去をきちんと行うために、私の診療所では最低でも一人1時間の時間をかけています。さらに、より正確な治療を提供できるよう、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)も用いて診療を行っています。

引用元:読売新聞
顕微鏡で細部まで除去

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20060329ik01.htm



このように、歯の神経の治療(根の治療)の際には、お口の中にいる細菌が治療中に新たに感染しないように、ラバーダムというゴムのマスクをつけて治療を行います。(感染のコントロール)

私 たちの体の内部に細菌が侵入すると、免疫という防御システムが働いて、細菌を排除してくれますが、歯の内部は例外で、免疫による防御システムが十分働かな い特殊な場所なのです。歯の神経の部分に感染した細菌は、人為的に取り除かない限り、ずっとそこに居座り、様々な悪さをします。

ゆえに根 の治療の本来の目的は、神経をとることではなくて、管の内部を清掃消毒、無菌化することです。そのためには治療中に新たな細菌を持ち込まないように注意す ることが一番大切なことであり、そのためにラバーダムを使用します。しかしながら、これも時間と手間がかかる処置なので、大学で教育されているにもかかわ らず、多くの歯科医院では行われていません。

引用元:読売新聞
感染防止にゴムシート

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20060328ik01.htm



治療したところが長くもつためには、感染の除去が大事だというお話をしてきましたが、もうひとつ大切なことがあります。それは再感染の防止です。

お口の中にいる細菌は常在細菌といって、常にいる細菌なので、減らすことはできても完全に取り除くことはできません。したがって再感染を防ぐためにはプラークコントロールが必要不可欠になります。“なぜ治したところがまた悪くなってしまうのか?“のところで述べたように、不適合な修復物はプラークのたまり場になります。ですから、適合の良い修復物を作って入れることが、歯科医師の大事な仕事になります。
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